unakowa's diary

子どもの質問に全力で答えるブログ

1/2成人式

日本の多くの小学校で1/2成人式というものをやっているらしい。

自分が子どもの時分にはなかったから、比較的新しい学校行事なのだと思う。

10歳というのは特別な年齢である。
脳科学的にも発達心理学的にも、子どもと大人の転換期であるというのが定説である。
つまりその身体のうちに、子どもと大人の視点を同時に兼ね備えている稀有な年齢である。

その年齢の子どもたちに、自分の成長歴と、自分が大人になった状態を考えさせ、成人までの残りの10年間を有意義に過ごすための気付きを与える機会は、是非多くの子どもたちに与えてあげたいと思う。

だが、多くの小学校で1/2成人式は、子から親への感謝を述べる場になっているようだ。

1/2成人式に出席する保護者は、子どもたちの親への感謝の作文を延々聞くことになる。
感謝の対象は、日々の食事の支度、掃除、就労による家計収入がほとんどだ。

果たしてそれらは本当に子どもが感謝すべきことなのだろうか?
「ご飯を作ってくれてありがとう」「家をきれいにしてくれてありがとう」
というフレーズは『自分(子ども)は家事サービスを受ける側である』という前提を置いて語られている。

家族の定義は幅広いが、仮に日々の生活を営む集団を家族というならば、そこで必要になる仕事は、各メンバーの力量に応じて分配される。
不公平に仕事を免除されているメンバーがいるとしたら、それは身分階級の上位者か、集団のメンバーとして認められていない存在だ。
子どもが家族の中でそのどちらの場合でも不幸なことに変わりはない。

確かに1/2成人式に合わせ学校からお手伝い指導があった。
だが、残念ながら子どもたちに『これからは、家族の一員として家庭運営の一端の役割と責任を担う』意識を持たせることは難しかったようだ。
先生方の苦労がしのばれるが、家庭内の指導もまた同様に難易度が高い。
アンケートによると、ほとんどの子どもたちが何らかの「お手伝い」を日常的にしているのだ。

「親に言われたからやる」お手伝いから「家族の一員としての責任からやる」お手伝いに意識が変わるのは、社会性の発達レベルによる。
わが子も含め多くの子どもたちの社会性は10歳という年齢に相応しい状態になっているのだろうか。